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6月23日12時6分配信 毎日新聞


 松下電器産業の子会社で経営再建中の日本ビクターとAV(音響・映像)機器メーカーのケンウッドは、経営統合する方向で最終調整に入った。ビクターとケンウッドが持ち株会社を設立して両社を傘下に収め、松下が保有するビクター株を持ち株会社に売却する案を軸に具体的な統合内容を詰める。松下によるビクター売却問題は二転三転したが、ビクターがケンウッドとの統合交渉入りを大筋了承したことで決着に向かう見通しとなった。
 経営統合は、まずビクターが200億円程度の第三者割当増資を行い、これをケンウッドが引き受ける。その後、両社が共同で持ち株会社を設立してビクターとケンウッドを傘下に収め、松下がビクター株を持ち株会社に売却する案が検討されている。
 関係者によると、ビクターはMBO(経営陣による自社買収)を含め自主再建の可能性を探ってきた。しかし、松下が提示したケンウッドとの統合案を上回る再建策を示すのは難しいと判断したとみられる。ビクターとケンウッドは事業に重複分野が少なく、統合で経営の効率化が図れるとの期待もある。
 ビクターは07年3月期連結決算が3期連続で最終(当期)赤字を計上するなど経営不振が続き、松下主導で経営立て直しを図ってきた。しかし、松下とビクターは薄型テレビやオーディオなど主要分野で事業が重複するため明確な再建策が打ち出せず、松下にとってもビクターの業績不振は重い負担となっていた。
 このため、松下は保有するビクター株(52・4%)の売却先としてケンウッドを選び昨年秋から交渉を始めたが、ビクターは自社より事業規模の小さいケンウッドに取り込まれる形での統合に反発。松下は選定方法を入札方式に変更して、米投資ファンドのTPGと交渉を進めた。しかし、これも条件面で折り合わず交渉は打ち切られ、松下は6月上旬に再びケンウッドと交渉に入っていた。【赤間清広】
 【日本ビクター】 1927年設立。松下電器産業グループの老舗AV(音響・映像)機器メーカー。蓄音機メーカーとしてスタートし、家庭用ビデオ規格「VHS」を開発するなど技術力に定評があり、欧米では「JVC」のブランドで知られる。07年3月期連結売上高は7426億円、最終損益は78億円の赤字。連結ベースの従業員数は約2万6000人。
 【ケンウッド】1946年設立。カーナビゲーションシステムなどの車載機器、音響・通信機器メーカー。家庭用オーディオで高いブランド力を持つ。86年まで「トリオ」の社名だった。07年3月期連結売上高は1691億円、最終利益は15億円。連結ベースの従業員数は約4400人。



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